エリア情報
「世界三大毛織物産地」をご存知ですか?イタリアのビエラ(Biella)、イギリスのハダースフィールド(Huddersfield)に加え、日本国内にもその産地があります。場所は愛知県・尾州。ここは、国内産毛織物の実に約70%を生産する日本最大の毛織物産地であり、ウールの中高級品を生み出すアパレル産業の集積地です。
尾州は紡績、撚糸、糸染、織・編み、染色整理(色付け・加工)など各々の工程が分業化されていますが、各社それぞれが豊富な知識や高い技術を持ち寄ることで、より質の高い製品を多く生み出してきました。
例えば、合繊(化学繊維)とウールの両方を交織して生地をつくる場合、ウールは元来縮むという性質があるため、実は尾州でしか加工することができません。縮んでしまうことを前提に、仕上がりの風合いや設計に対応することができるのが尾州産地なのです。また、ウールの染色技術も非常に高度ですが、尾州では合繊・綿など何でも染めることができます。
ブランドストーリー
ウールで名高い尾州産地の中にあって、突出した企業力をお持ちなのが今回プロジェクトにご協力いただいた「中伝毛織株式会社」さんです。地域の基本体制である分業作業を自社およびグループ会社間で一貫して行うことで、開発スピードを加速しつつ、人材育成をしながら高品質な製品を生み出しています。
設備投資としてヨーロッパ三大機械メーカーの最新織機を豊富に導入していますが、単に装置をたくさん保有しているだけではなく、それらの組み合わせを工夫することにより、他社ではできない風合いやデザインの生地を手早く生産することができます。そのため、一般的な生地から、顧客の細かな要望が詰まった生地づくりにも繊細に応えられるのです。
しかし、織物の完成度を高めるにはハードだけでは不十分。優れた機械のポテンシャルを最大限に引き出すため、熟練の職人や企画力のあるテキスタイルデザイナーの教育はもちろん、世の人々に完成品をお届けする営業マンも日々努力を積み重ねています。生産・企画・営業の三位一体スタイルこそ、中伝毛織さんの強みであり特長となっています。
開発秘話
尾州が扱うウール、冬に暖かいというイメージがありますが、素材自体が動物性で呼吸をしているため、実は吸水性や放湿性に優れています。つまり、冬に暖かいだけでなく、夏も涼しいのです。雪山登山の靴下にも、夏の肌着にも使える万能素材です。
同時に抗菌作用も非常に強力で、汗や体臭を消臭してくれる効果まであります。1週間着続けても臭わないため、NASAが宇宙服(インナー)用に開発しているとか。さらに、羊の毛であるウールは微生物などの作用で自然に還る「生分解性」を有しており、化学繊維よりも速いスピードで土に還ります、近年では持続可能で循環型のエコ素材として注目を集めています。
このように機能性と環境性の両輪を兼ね備えた素晴らしいウールですが、製品になりきれなかった端切れや使われなくなった生地は持て余していることも事実です。そこに、アパレルとは違う角度から「DN・ねこアースプロジェクト」がドッキングしました。
もともと、「ロスの再利用は会社としてマストである」との考えをお持ちだったため、繊維業界で処理できなくとも、ペット業界では新しい価値が与えられ、全国の可愛いネコちゃんたちに必要とされるものに生まれ変われること、自社の中だけで完結できないことを他社と協力して処理していくことは非常に有益なことだとご判断いただき、尾州ウール生地のネズミが誕生しました。